観覧車から見える景色

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よく分からないが、俺は変わっているらしい。 色が見えないのがいいことなのか、それとも悪いことなのかはさっぱり見当もつかないが。 「でも、他にも見えない人がいたんですよね?  それはどんな人なんですか?」   彼女は少し視線をさまよわせ、消え入るような声でぼそりと告げた。 「……実は、昴さんなんです。 十五年前に会った時の昴さんは、色が見えなかったんです」   だんだん混乱してきた。 「昴? でも、今は見えるんですよね?  途中で色が変わったりすることって、あるんですか?」   彼女は横に首を振る。 「ありません。そんなこと、今まで一度もありませんでした。 だから昴さんとあなたは、きっと特殊なんです」 「特殊……」 自分にはどうにも出来ないことを特殊、と言われても、今ひとつどうすればいいのか分からない。 どうもしなくてもいいのかもしれないけど。 .
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