観覧車から見える景色

25/43
前へ
/182ページ
次へ
「それでも父が喜んでくれるなら、頑張ろうと思ったんですが。 父は出来て当然という態度で、ねぎらいの言葉一つかけてくれませんでした。 まるで、自分はロボットか何かのようだと思っていましたわ」   俺は彼女の話を聞いて、小さい頃の昴を思い出していた。 「神崎家に行った時も、せっかく久しぶりに父と出かけられると思ったのに、父は仕事の話ばかりしてわたくしのことは放っておきっぱなしで」   彼女は懐かしむように目を細めた。 「父を困らせてやろうと思って、会場をこっそり抜け出したんです」 そこで一度言葉を切って、彼女は恥ずかしそうにくすりと笑った。 .
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7596人が本棚に入れています
本棚に追加