観覧車から見える景色

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「……また日本に帰って来ますか?」 俺がそう尋ねると、彼女は少し驚いたように瞬きして、それからいたずらっぽく笑った。 「小野寺はわたくしがいないとさみしいんですの?」 俺は答えにつまって髪の毛を指で乱暴に撫でた。 「率直に言うと……寂しい、と、思います」 「素直ですわね、小野寺」 動揺しているのか、少し彼女の声が震えた。 はっきり言って俺も相当に恥ずかしい。けれど。 「だって、今言わないと、次いつ会えるか分からないでしょう。 俺パスポートも持ってないし」 .
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