観覧車から見える景色

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それを聞いたお嬢様は、人差し指を俺の鼻先に突きつけた。 「小野寺、絶対に会えない人って、どういう人だと思いますか?」 「へ?」 突然クイズを出された。 「さぁ……死んでる人とかですか」 「それもですけど、お互い会う気がない人ですわ。 だから逆に言うと、お互いが会いたいと思っていれば、他のことは些末な問題にすぎません。 遠くに住んでいても、時間がなくても。 会いたいと思ったら、ごちゃごちゃ考えずにその時会いにいけばいいんですわ。 そう思いません?」 お互いが会いたいと、思っていれば。 「それって、お嬢様も俺に会いたいと思ってくれるって解釈していいんですか?」 彼女は眉をぴくりと動かし、強い口調で言い返す。 「その嫌味っぽい呼び方やめません?」 「俺も小野寺はどうかと思います」 まるで子供の言い合いのようで、思わず二人で顔を見合わせて笑ってしまう。 .
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