観覧車から見える景色

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★・・・・・・・★・・・・・・・・★・・・・・・・★ 「で、お嬢様の具合がよくなった後も、自分の家に泊めたはいいものの何もしなかったのかよ! せっかく俺がお膳立てしてやったのに、情けないやつだな! お前それでも男か! だからアメリカに帰っちまったんだよ!」 俺はむっとして好き勝手言いたいことを言っている昴を睨みつける。 「具合悪いって言ってるのに、そんな雰囲気にならねーだろ! 俺はお前とは違うんだよっ!」 昴はテーブルの上にあるカップを手に取りコーヒーを飲む。 「雰囲気なんていくらでも作れるだろ。 俺が教えてやろうか?」 「余計なお世話だっ! だいたいあの日お前が彼女を追い出したんだから、出てった後のことも責任持てよ! 今から送るって電話したのに、 『来るな』の一言でガチャ切りしやがって!」 昴は妙に嬉しそうに笑って、メガネの縁を指で押し上げた。 「仕方ないじゃん。 俺は俺であの日は色々と忙しかったんだか……」 スパン、と威勢のいい音がして昴の頭が木製のお盆で叩きつけられる。 「昴さん、司さんに変なこと言わないでくださいっ!」 キッチンで料理を作っていた花音ちゃんが、俺達の話を聞いてすかさず昴に制裁を加えに来た。 .
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