観覧車から見える景色

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花音ちゃんは手際よく、作った料理をテーブルに並べていく。 「でも麗華さん、また日本に帰ってくるんですよね?」 「あぁ、なるべく早く帰ってくるって言ってたよ」 昴は楽しそうに白い歯を見せてにぃっと笑った。 「花京院グループのお嬢様なんて、俺の家より大変だぜ?」 「別にこれからどうなるかはまだ分かんないし」 「想定の話だよ。 お嬢様と付き合うなら、今から色々考えとかないとダメだろ?」 俺は手を合わせて料理に箸を運ぶ。 「まぁな」 昴はにやつきながら言葉を続ける。 「お嬢様、料理の腕も壊滅的だし」 俺は思わず低い唸り声をあげる。 そこは確かにちょっと……かなり、不安だが。 「料理は……いざとなったら俺が出来るから、何とかなるだろ」 花音ちゃんほどとは言わないが、せめて普通に人間が食べられるレベルの物を作れるようにはなって欲しいな、と切に願う。 .
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