神崎家と花音

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私は船に置いてあるプラスチックの白い椅子に座り、ぽやんと海を見つめる。 波がさざめく音。 大和さんは慣れた手つきで魚を釣り上げながら、私と昴さんが普段どんな風に過ごしているかをそれとなく訊ねてくる。 「昴はきちんと食事をとっているかい?」 「はい。忙しい時は外で食べて来ることも多いですけど」 「好き嫌いはしてないかい?」 「あ、はい。私が作った料理はいつも全部食べてくれますよ!」 何だか小さな子供にする質問みたいだけれど、大和さんは私の答えをやわらかい表情で嬉しそうに聞いている。 .
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