神崎家と花音

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「そうかそうか、それはよかった」 私は大和さんが喜ぶ顔を見つめながら、不思議な気持ちになっていた。 昴さんはあまり神崎家の人間に関わりたくないと言っていたし、両親と仲が良くないと話している。 だけど、本当は素直になれないだけじゃないのかな。 少なくとも私の向かいに座っている大和さんの表情は、昴さんのことを大切な息子だと思っているお父さんの顔に見える。 跡継ぎがどうとか、病院の経営が云々とか、幼い頃のすれ違いとか、私に分からない難しい問題もきっとたくさんあるとは思うけど。 昴さんが私と小夜子さんの軋轢(あつれき)を解決してくれたように、私も少しでも昴さんと神崎家が和解出来る架け橋になれればいいな、と思う。 そういう考えもあって、今日こうやって一人で昴さんのお父さんに会いに来たのだが。 .
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