神崎家と花音

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私の釣竿の先にある透明な糸がピン、とはねた。 「桐生さん、ひいてるよ!」 「えっ!?  あ、これどうすればいいんですか!?」 魚がかかったらしい。 釣竿の先がブルブルと震えている。 「ほら、リール巻いて巻いて」 「おっ重いです!  なんかはねてますっ!」 おっかなびっくり釣竿を握っていると、大和さんが魚を網で引き上げてくれた。 大和さんは釣れた魚を上機嫌で見つめた。 「全部でキス二匹とアジ三匹か。 上出来だな」 「この魚、どうするんですか?」 大和さんはにやりと笑いながらキッチンから包丁とまな板を持ってきた。 「もちろん食べるんだよ!」 .
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