神崎家と花音

13/43
前へ
/182ページ
次へ
大和さんは見事な手さばきで魚を捌き、おろしていく。 「すごい! 上手ですねー!」 「外科医だからね。 こういう作業は慣れたもんだよ」 「はぁ……」 外科医がみんな料理上手かは分からないけれど。 そういえば病院の医院長だから、大和さんもお医者さんなんだ。 大和さんは手早く衣を作り、電気式の鍋で天ぷらを作る。 「野口さんもこっちおいでよ。 昼食にしよう」 私はわくわくしながら、出来立ての天ぷらを口に含む。 ふっくらした感触が口の中に広がった。 「美味しい!  さっぱりしててサクサクしてますね!」 大和さんはビールを飲みながら得意げに笑みをこぼす。 「刺身にしても美味しいんだよ。 季節や時間によって釣れる魚も違うからね。 また機会があったら一緒に来よう」 私はこくこくと何度も頷いた。 「はい、ぜひお願いしますっ!」 食器や鍋を片付けると、時計は一時を指していた。 雲が出てきたということで、私達は大和さんの家に戻ることになった。 クルーザーを停留し、車に移動する。 帰路の途中も大和さんは私が退屈しないように、病院で働いていた頃の話を色々してくれた。 .
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7596人が本棚に入れています
本棚に追加