神崎家と花音

27/43
前へ
/182ページ
次へ
大和さんは昔を思い出すように、どこか遠い目をした。 「あいつ、あまり体力がないだろう」 私は即座に頷く。 「ないですね。 あんまり激しい運動はしようとしないです」 この前昴さんをスキーに誘ったけど、「俺はそういうキャラじゃない」と言って一蹴されてしまった。 その理由もよく分かんないよ、昴さん。 昴さんは運動神経自体はいいと思うのだけれど、あんまり活動的ではない。 趣味もチェスとサックスだし、あんな性格の割にどちらかと言えばインドア派だと思う。 大和さんは目を伏せて、低い声で呟いた。 「あいつ、小さい頃身体が弱くてね。 ずっと入院していたんだ」 .
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7596人が本棚に入れています
本棚に追加