神崎家と花音

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★・・・・・・・★・・・・・・・・★・・・・・・・★ 帰り道。 昴さんがタバコを吸いたいと言うので、並木道の中程にあるベンチに座った。 冬はイルミネーションがきれいだったけれど、今の季節みたいに青々とした葉が揺れているのも好きだなぁ、と思う。 私は昴さんの隣に座り、立ち上る白い煙をぼんやり見つめる。 昴さんが突然私の頬をひっぱった。 「いっいひゃいです!」 「さて。何でお前が今日あのおっさんと一緒に出かけてたのか、説明してもらおうか?」 昴さんは聖母のように穏やかに笑っていた。 むしろ笑顔の方が怖いっ! 「あ、あの、昴さんとへっこんするなら、やっぱりほりょうしんのひょかはとったほうがひいと思いまして!」 「何言ってるのか分かんねぇよ」 「じゃあ手をはなひてくださいっ!」 .
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