神崎家と花音

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「……昴さんの、お父さんだからですよ。 私はもう、お父さんって呼べる人がいませんから。 会おうと思えば会えるのに、仲違いしてるなんて悲しいって思ったんです」 言ってから、完全に自分の都合だと気づいた。 「でも、今度からはちゃんと相談しますね。 ……ごめんなさい」 昴さんがはぁ、と白い煙を吐き出した。 そして、私の頭をくしゃくしゃと撫でた。 「怒ってるわけじゃなくて、心配だっただけだから」 驚いて彼の目をのぞき込むと、昴さんは照れくさいような困っているような、何だか複雑な表情で口を歪めた。 「俺、お前にはほんとに甘いわ」 私は嬉しくなって彼の腕に抱きついた。 .
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