たった一人の大切な人

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司は相変わらずどうしようもないお人よしだ、と思いながらにやついていると、部屋の扉が小さくノックされた。 「どうぞ」 そう答えると、花音が不安気な顔をしながら部屋に入ってきた。 「あ、あのぅ……さっき物音がしたので、何かあったのかと思って部屋を見たら、麗華さん外に出て行ったみたいなんですけど……」 俺は花音の手を引っ張って自分の方に引き寄せ、頭を撫でる。 「そっか?」 いつもの花音の香りがして、愛しいという気持ちで満たされる。 花音の髪に、目蓋に、頬に、短い口づけを落としていく。 「す、昴さんっ! 麗華さんだけだと、危ないんじゃないですか!?」 「大丈夫大丈夫。ちゃんと王子様を要請しといたから」 「へ? それ、どういう……」 花音は不思議そうに小首を傾げる。 .
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