別れの時

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 集合場所に着くと既に数人集まっていたけど、美咲や康はまだ来ていなかった。  美咲の兄貴は小学校を卒業して今年から中学に通っている。遊園地の一件から少し時間を置いて聞いてみたら、「お兄ちゃん、本当にあれ以来私に暴力振るってこなくなったんだよ。秀くんのおかげだね。ありがと」と言って喜んでいた。  その時の言い方がなんとなく今まで頻繁に暴力を受けていたようなニュアンスに聞こえて気になったけど、今はもうなくなったなら良かったと安心している。 「――秀人くん。おはよう」  微妙にボーッとしていた俺に、二個下の潤が声をかけてきた。  俺や康、美咲にもなついていて、いつも俺ら三人のやり取りを面白いと笑いながら見ている人懐っこい奴だ。  俺は「ああ、おはよ」と笑顔で返し、両手を温めながら「しっかしさみいなあ」と続ける。 「明日から更に寒くなるって天気予報で言ってたよ」  潤も同じように手を温めながら答えた後、ふと思い出したように「そういえば秀人くんはサンタさんに何お願いする?」と聞いてきた。
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