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「お兄ちゃん、痛いよ。やめて」
言ったところでやめてくれる筈がない。
「うるせえよ。生意気ばっか言いやがって」
お兄ちゃんは私の頬を勢いよく引っ叩く(ひっぱたく)。
反抗する気など更々ない私は、お兄ちゃんが癇癪を起こす度、ひたすら耐えるしかなかった。
反抗したらもっと酷い事されるって本能的に分かっていたから。それに、反抗したって、二つ歳の離れたお兄ちゃんに勝てる訳がないって分かっていたから。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
とにかく早く終わって欲しくて、ひたすら謝る私。
「謝れば許してもらえると思ってんじゃねえよ」
しかしお兄ちゃんは止めようとしないで私の髪を引っ張った。
お兄ちゃんが怒っている原因は単に滑り台をどっちが先に滑るかで揉めただけの事。
いつもお兄ちゃんが先だったけど、今日は何の気無しに先に滑ったら怒りだしてしまったのだ。
「ごめんなさい」
何度謝ってもお兄ちゃんの気は治まらず、拳で頭を思い切り叩かれた。
いつんなったらやめてくれるんだろ。もう嫌だ。
近くに居る子たちはみんな傍観者。
そりゃそうだ。端(はた)から見たら、ただの兄弟喧嘩。助けようなんて思わないだろう。
そんな事を考えていた時、予想に反した出来事が起きた。
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