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「美咲ちゃんをいじめるな」
そう叫びながら走ってきたのは柔らかくてサラサラの髪が印象的な秀くん。
秀くんは真っすぐお兄ちゃんの方に向かって飛び掛かって行く。
「なんだよ、お前。邪魔すんじゃねえ」
お兄ちゃんは秀くんの頭に拳を振り下ろした。
端から見ても凄い勢いで振り下ろされた拳。相当痛かったのか、秀くんは涙目になりながら反論した。
「女の子叩いちゃダメだって、お母さんに言われなかったのか?」
秀くんは、自分より一回り大きいお兄ちゃんの胸を両手でバシバシと叩く。
「うるさい! 俺の妹に何しようと、俺の勝手だろ」
お兄ちゃんは再び秀くんの頭を叩いた。
何で秀くんが叩かれなきゃいけないの? 秀くんは私を助けようとしてくれてるだけ。何も悪い事してない。
「秀くんに手えだすな」
私は自分でも訳が分からないまま、夢中でお兄ちゃんに突進していく。
しかし当然私の力で何か出来る訳もなく、軽くあしらわれて押し返された。
「お前まで逆らう気か」
お兄ちゃんからしたら、今まで逆らった事のない私が、突然牙を剥いた事が気に入らなかったんだろう。凄い形相でこっちを向いて拳を振り上げた。
しかし、それが私に届くより前に、秀くんがお兄ちゃんに体当たりする。
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