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「秀くん、ごめんね……。私のせいで……、ごめんね」
私はどう謝っていいのかも分からず、ただただ謝罪の言葉を口にする。
秀くんが今、何を思っているのか。返事を聞くのが恐かった。
しかし、そんな私の耳に届いたのは、予想しているような言葉ではなかった。
「助けてあげれなくてごめんね」
悔しそうに唇を噛み締めて俯いていた秀くんは、顔を上げて悲しげな笑みを浮かべる。
そして、何かを決意したように真っすぐ私を見つめて言葉を続けた。
「俺、強くなるから。もっと鍛えて強くなって、次は絶対守ってあげるから。だから泣かないで?」
秀くんは優しく微笑んでいる。
その言葉を聞いた私は、余計に涙が止まらなくなってしまった。
秀くんは私を嫌いになったりしていない。それどころか優しい言葉をかけてくれる。私のせいでこんな目にあったのに。
私は秀くんの優しさが凄く嬉しくて、言われた言葉以上に感動してしまった。
でも……。
「ごめんね。ありがとう。でも、お兄ちゃん大きいから無理だよ」
私は秀くんを止めたくて首を横に振る。
それに何より、これ以上秀くんに痛い思いして欲しくない。
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