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「うん。お父さんがね、たまに……」
そこまで言って口を閉ざす秀くん。
続きにどんな言葉が用意されていたか分からないけど、たまにって言い方からすると、何度も繰り返しやられてるって事になる。何でお父さんがそんな酷い事を?
そんな疑問が頭を過ぎったけど、秀くんの表情を見たら聞くに聞けなかった。というより、秀くんがあまり話したくない内容だって事にやっと気付いたと言った方が正しい。
代わりにある決意を口にする。
「私も強くなるよ。秀くんに守ってもらわなくても……ううん、逆に秀くんの事守ってあげれるくらい。だから一緒に頑張ろ? 一緒に強くなって、悪い奴をやっつけよ?」
私は涙を拭って、真っすぐ秀くんを見つめた。
「えっ? でも……」
秀くんは驚いたように目を丸くして私を見つめ返す。
秀くんからしたら、自分が守ろうとしてる対象の私が、一緒に強くなろうなんて言い出したんだから戸惑うのも無理はない。
でも私だって秀くんを守りたい気持ちはあるし、秀くんに傷ついて欲しくない。
「私と一緒にやるの、嫌なの?」
思わず出た一言。それには、単純に秀くんと一緒に何かがしたいという思いも含まれていた。
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