1071人が本棚に入れています
本棚に追加
「ううん。そうじゃないけど……」
秀くんが否定の言葉を口にした瞬間、私は覆い被せるようにして口を開く。
「だったら良いじゃん。一緒に頑張ろうよ」
私は満面の笑みを浮かべて右手を差し出した。
「うん、そうだね。ありがとう。一緒に頑張ろ」
秀くんも笑顔になって、差し出した手を優しく握ってくれた。
私は、固く結ばれた手に自分の決意を込めるように、しっかりと握り返す。
その時、水飲み場に止まっていた一羽の白い鳥が、導かれるように大空へ飛び立って行った。まるで私たちを激励するかのように。
それから私たちは、これまで以上に頻繁に遊ぶようになり、一層仲良くなっていった。
もちろん、一緒に強くなるっていう目標も忘れてはいない。自分達で考えた、他人から見たらバカかと思うようなメニューをほぼ毎日こなしていた。
実際、保育園に入園したばっかのガキが考えた内容なんて、意味のある内容なんかじゃなかったと思うけど。
それでも私たちは、ひたすら頑張っていた。二人で同じ目標に向かって。
最初のコメントを投稿しよう!