転機

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 というのも、うちのお父さんは社長とかいう奴で、何かと忙しくて休みが取れないらしい。  うちのお母さんと秀くんのお母さんは仲が良いから、秀くんと出掛ける事もあったけど、その時もお父さんが来れる事はなかった。  だからお父さんも一緒に家族みんなで出掛ける事は滅多になくて、たまにあるこういう時が凄く楽しみなのだ。  そういや秀くんのお父さんも来た事ないんだよな。  秀くんを虐める悪い奴。うちのお兄ちゃんは癇癪起こす時以外は優しいけど、秀くんのお父さんはどうなんだろ。家族で仲良く出掛けたりする事もあるのかな。  そんな事を考えていた私は、次に口を開いた康くんの声で我に返る。 「うちはこの前、水族館連れてってもらったんだ。アフリカマナティって奴がすっげえデカくてびっくりしたよ。遊園地も良いけど水族館も良いよな」  その時の事を思い出しているのか、康くんは嬉しそうに報告してきた。 「水族館も良いなあ」  りっちゃんは遠い目をしながら呟くように言う。  二人の会話から、ペンギンさんやイルカさんを想像して、私も思わず笑みが零れた。  そんな中、りっちゃんが言葉を続ける。 「私は動物園も好きだな。ちっちゃい方のゾウさんも、すっごく大きかったんだよ」  りっちゃんは両手をいっぱいに広げて瞳を輝かせている。
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