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ふと秀くんに視線を移すと、どことなく寂しそうな表情で私たちの会話を聞いていた。
秀くんはこの話題になってから一度も口を開こうとしていない。いつもなら進んで会話に参加するのに。
どうしたんだろうな、と思っていると、康くんが秀くんに話しかけた。
「秀くんは? 遊園地と水族館と動物園だったらどこが一番好き?」
康くんはにこにこしながら秀くんの顔を覗き込む。
「へっ?」
突然話し掛けられた事に驚いたのか、秀くんは目を見開いて間の抜けた声を出した。しかしすぐに笑顔になって言葉を続ける。
「俺は遊園地かな。早くもっと大きくなって、色んな乗り物に乗りたいよ」
秀くんの笑顔はいつもと何ら変わらぬ笑顔で、さっきの寂しそうな表情は気のせいだったのかな、と思える程だった。
それでも私の脳裏には秀くんの寂しそうな表情が焼き付いて離れなかったから、何か声をかけたくて口を開く。
「秀くん。今度秀くんも一緒に遊園地行けたら良いね」
私は実際に秀くんと遊園地に行っているところを想像して笑顔で話しかけた。
「そうだね。みんなで行けたら良いね」
秀くんは笑っている顔を更に綻ばせて頷くと、康くんとりっちゃんに視線を移す。
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