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すると二人もうんうんと大きく頷いて、「良いね。みんなで行きたいな。後でお母さんに聞いてみようかな」と言って笑いあっていた。
私も後で聞いてみよ、などと考えていた時、ちょうどお母さんが迎えに来てくれたらしく、名前を呼ばれる。
「美咲ちゃん、お母さんがお迎えに来てくれたよ」
声のした方に視線を移すと、お母さんと一緒に居る先生が手招きしていた。
私はみんなと挨拶を交わして、お母さんの元に駆け寄って行く。
そして先生にも挨拶をして再度みんなに手を振ると、早速聞いてみる事にした。
「お母さん。今、秀くんたちに次の休みに家族で遊園地行くって話してたらね、今度みんなで行きたいねって話になったんだ。良いかな?」
お母さんと、康くんやりっちゃんの親は保育園で会った時に挨拶を交わす程度の関係だけど、まさか駄目なんて言われるとは思ってない私は、期待の眼差しを向けた。
しかしお母さんから返ってきた言葉は、確かに“駄目”ではなかったけど、肯定を表すものでもなかった。
「美咲……」
お母さんは驚いたように目を見開いた後、寂しげに微笑んで口を閉ざす。
「お母さん?」
いつもと違うお母さんの様子に戸惑いを覚えながら顔を覗き込んでみたけど、お母さんは何も言わずに私の頭を撫でてゆっくりと歩き出した。
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