転機

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 その後もお母さんは一切口を開くことなく、私たちは無言のまま帰路につく。  お母さん、どうしたんだろ? 私、何か怒らせるような事したのかな? だから何も話してくれないのかな?  不安になりながらお母さんを見ると、別に私に対して怒っているとかそういう感じではない。どちらかと言うと困ったような、それでいて哀しそうな、そんな表情をしていた。  逆に何か哀しませるような事をしてしまったんだろうか?  妙な胸騒ぎを覚えながら窓の外を見ると、いつも通りのはずなのに、やけに緊迫した空気が漂っているように見えた。  そんな不穏な空気の中、無機質な車は何事もなかったかのように家に到着する。  家には何故かお父さんの車が停まっていた。  今までこんなに早く帰ってくる事なんて、何か特別なイベントの時以外なかったのに。夜ご飯だって一緒に食べれる日は少ないくらいだ。今日はお母さんの様子もおかしいし、一体何があったんだろ? 「お父さん、もう帰ってきてるんだ」  不思議に思いながら疑問をそのまま口にする。  しかし相変わらずお母さんは何か考え込んでいる様子で、まともな返答はしてくれなかった。  私は余分な事を考えるのはやめて、足早に家の中に向かう。  家に入ってすぐに手洗い嗽を済ませてリビングへ向かうと、やはりお父さんは帰ってきていた。学校から帰ってきたお兄ちゃんも一緒に居て、並んでソファに座っている。
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