転機

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「お父さん、もうお仕事終わったんだ。おかえりー」  私は久しぶりにお父さんといっぱい話せるのが嬉しくて、笑顔でリビングに入った。  夕陽が差し込む室内でテレビを見ていた二人は、私の声に気が付いて振り返る。 「美咲が帰ってきたのに、何でお前がおかえりなんだ」  お父さんは苦笑しながら突っ込みを入れてきた。 「アハハ。そうだね。ただいま。今日はもうお仕事行かなくて良いんだよね?」  私は照れ笑いしながら保育園の上着を脱いでソファのひじ掛けにかける。 「ああ、おかえり。今日はみんなで美味しいもんでも食べに行こうかと思ってね。何が食べたい?」  お父さんは自分の隣に居るお兄ちゃんと私を交互に見た。 「ハンバーグが良い!」 「私も」  即答したお兄ちゃんに続いて、すかさず私も答える。 「ハハ。お前らいつもハンバーグだな。もっと贅沢言っても良いんだぞ?」  お父さんは確認するように私たちの顔を覗き込んだ。  私にとってはハンバーグが贅沢な料理で、逆に高級な寿司とかより好きなんだけどな。くるくる回ってるとこなら楽しくて良いけど。
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