転機

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 そんな事を考えていると、後ろからお母さんの声が聞こえてくる。 「あんたたちハンバーグ好きだもんね。じゃあいつものハンバーグ屋さん行こうか」  振り返ると、お母さんがリビングに入ってくるところだった。  お母さんの表情はとても穏やかで、さっきまでの不安げな雰囲気は完全に消えている。  良かった。いつも通りのお母さんに戻ったみたいだ。  なんか悪いことがあったのかと不安になってたけど、お母さんの様子も戻って、更に家族みんなで食べに行けるなんて良いことずくめだ。心配する必要なかったな。 「うん」  無意識に出た安堵のため息とともに、満面の笑みで頷く私。 「よーし。じゃあお前達の好きなハンバーグの店に行くか」  お父さんは顔を綻ばせて大きく頷いた。  こうして夜ご飯はハンバーグに決定した。  行き帰りの道中もお兄ちゃんと一緒に大はしゃぎ。凄く楽しかったんだけど、どうしても気になる事があった。  まず第一に、やっぱりお母さんの様子がどことなくおかしかった事。そしてもう一つは、なんとお父さんも同様に憂いを帯びた表情をしていた事だ。  基本的には二人ともいつもと変わらず楽しそうにしていたけど、ふとした時に見せる表情がやけに悲しそうに見えた。  特に遊園地の話題が出た時には酷く戸惑ったような表情をしていたのが印象に残っている。いつもなら優しく笑って返事してくれるところなのに。  その原因は数日後、予定通り家族で遊園地に行った後に判明する事になる。
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