1071人が本棚に入れています
本棚に追加
日曜は晴れてほしいという祈りが通じたのか、当日は雲一つない晴天に恵まれた。
遊園地では身長制限で乗れない乗り物の方が多かったけど、それでも私たちを楽しませてくれるアトラクションが沢山あって、大満足の一日となる。
興奮覚めやらぬまま帰宅した私たちは、誰が照らし合わせた訳でもなく自然とリビングに集まる。
暖かみがある木製のテーブルと座り心地の良いソファ。テレビは壁に埋め込まれていて、その下の壁をくり抜いて造られた簡易な棚には、私やお兄ちゃんが使うゲーム機が置いてある。
私は自然といつもゲームをする時に座るソファに向かった。
その時、お母さんに何が飲みたいか聞かれて、私とお兄ちゃんはオレンジジュースと答える。
すぐに冷蔵庫に向かったお母さんは、スナック菓子も一緒に持ってきてくれた。
私は「いただきます」の挨拶とともに上機嫌でジュースに手を伸ばす。
それとほぼ同時に、お母さんが深刻そうな声色で口を開いた。
「賢治(けんじ)、美咲。今から大事な話をするから、良い子で聞いててね?」
改まってどうしたんだろ? と不思議に思いつつも、「はーい」と返事をして聞く体勢に入る。
話の内容は、難しくてよく分からなかった。
理解出来たのは、これからお父さんには滅多に会えなくなるって事と、引っ越しをしないといけないって事。
何でそうしなきゃいけないのかは全く理解出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!