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六年前――。
積雪二十センチを越える大雪が降った翌日、私は幼なじみの神城秀人(かみしろひでと)に誘われて近所の公園で遊んでいた。
この地方では積雪二十センチというと数年に一度しかない珍しい事である。
公園の遊具たちは、どれもがその大半を雪に身を隠し、全く機能を果たそうとしていない。
そんな、一面が白銀で覆われた幻想的な世界で、朝から二人で大はしゃぎしていた。
かじかむ手を温めながら、大きな雪だるまを作って気分上々。
散々遊んでそろそろ帰ろうかという時、秀人がにこにこしながら話し掛けてきた。
「美咲。これ、ちょっと早いけど誕生日プレゼント」
秀人は満面の笑みでポケットから可愛らしい小袋を取り出す。
「突然どうしたんだよ?」
いつもと違う秀人の言動に妙な胸騒ぎを覚え、受け取るどころかお礼さえ言いそびれる私。
というのも、秀人は毎年、私の誕生日は必ずお祝いしてくれていたから。場所や人数は様々だったけど、秀人だけは必ず毎年祝ってくれていた。私も秀人の誕生日は毎年お祝いしていた。
だから秀人はいつも当日にプレゼントを渡してくれていた訳で、突然先渡しされたら不思議に思うに決まってる。それにプラスして秀人の態度がいつもと違えば、何かあったのかと心配になるのも当然だ。
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