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「広いな…」
チヒロの友人の家はマンションの最上階で、チヒロの部屋とは比べ物にならない広さだった。
カーテンを閉め切っているからか何だか陰気な雰囲気が漂っている。
「私が掃除したから広く見えるんだよ。前は足の踏み場も無かったんだから」
チヒロは妬いているのか、必死に友人の部屋だけではなく当人のことも何故かバカにしている。
(この娘は…ブラコンなのか…?)
胸でそう考えながらシドはフードの下からチヒロを見詰め、少し彼は微笑んだ。
視線をチヒロから部屋全体に移すと、気になる所が幾つかあった。
幾つも並んだデスクトップのパソコンに、大阪全体を詳細に記している地図。
ホワイトボードには見知らぬ男の写真が貼られている。
シドは壁一面に貼られた地図の前に立ち、チヒロに尋ねた。
「俺の家は何処かわかるか?」
「ここがここだから……最後にあった時はここに住んでいたよ」
このマンションに右手の人差し指を置き、シドの家は左手を置いている。
距離はそれほど離れていない、ざっと言えば2キロは離れているだろう。
そして気になった節があったのでチヒロに聞いてみた。
「俺達が最後に会ったのはいつなんだ?」
「2年前かな…?」
「………」
彼女は久しぶりにシドと会ったから妙になついていたのだろうか。
シドには解らなかった。
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