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「東宮様だ」
「東宮様が帰って来た」
男の登場に、食堂がざわめく。
男の名は東宮帝。
要達より一つ上の、三年生だ。
理事長をもしのぐ権力を持ち、その全てが世界最高の人物である。
「帝!」
知っていたのか、光が嬉しそうに帝へ寄って行く。
しかし。
ドゴッ
「ぐあっ」
帝の一振りで光は吹き飛ばされた。
「な、何すんだよ帝!」
痛む頬を押さえながら光が叫ぶ。
「黙れ」
何の感情も見えない、まるで能面のような表情で帝が言った。
その声に、流石の光もビクッと怯える。
「お前のような五月蝿い猿が近付くな」
汚らわしいものを見るかのような目で光を見る帝。
光は、何故自分が帝からそんな目で見られるのかわからなかった。
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