149人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
その時、帝の目が要達の方を見る。
要の傍に居る雲雀に鋭い視線を一瞬向け、帝は口を開いた。
「要、どうした?」
先程光に向けたものとは違う、とろけるような甘い声で言う帝だが、要はそれにただ震えるだけだった。
そんな様子の要をこれ以上この場に居させる事は出来ない雲雀は、帝の視線の意味が気になったがとりあえず寮に戻る事にした。
「えーと……要、ちょっと気分悪いみたいなんでまた今度にしてやってもらえます?」
帝からの返答を聞かず、雲雀の足は既に入り口へと向かっていた。
それに怒るでもなく、帝は雲雀達をそのまま好きなようにさせた。
「今は退こう。要をよろしく頼むよ、朝倉雲雀“さん”?」
帝の言葉が雲雀の耳に入る。
何故、自分の名前を知っているのか、何故、自分を“さん”付けで呼ぶのか。
不思議に思いながらも、要の方が心配な雲雀は急いで帝の元から離れた。
.
最初のコメントを投稿しよう!