報復サービス

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「これで打ち止めにしてもらいたいものだ」 黒服は、白衣を着こんだ男に語りかける。 「しかし彼の結果が出るのは、僕たちの寿命では見届けられませんけどね」 二人で巨大な建造物にも似た、大がかりな機械の壁を眺める。 その下にはカプセル型のスリープマシンが軒を連ねていた。 「いつ見ても気味の悪い場所だ」 黒服は歩きながらカプセルを除くと、干からびた腐乱死体がカプセルの中に閉じ込められている。 「こんな人体実験に何の意味があるのか」 白衣の男に語りかける。 「金持ち連中には何が何でも生きながらえたい人間が居るんだよ」 そう答え白衣の男はカプセルに向き合う。 「現代医療の限界が来たとしても、これさえあればどうにでもなる、そして行く行くは一般人にも………」 「まぁその頃には俺たちはいないがな」 「永遠にも似た悪夢を見続けたとしてもこの実験は成功させなければいけない」 男たちは部屋を出る。 いつ終わるかも解らず繰り返される悪夢と共に男は眠り続けた。
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