悪魔を見てしまった日

7/9
前へ
/9ページ
次へ
あの後、夕食を食べ、風呂をルシファーの後に入り、気がつけば夜十時だった。 「で、なんだったんだ?あの挨拶は」 「処世術の一つだ。性格を一時的に変える事など造作も無い」 「あまりの豹変に驚いたぞ」 俺がため息をつきながら言うと、ルシファーはふふ、と笑い、 「お前が驚いたならなによりだ」 と言ってきた。 「厭味か」 「ふふふ…………そんなわけなかろう」 「そーかい」 そうだとよりタチが悪いな。 「じゃあ質問を変えるが、なんで俺と同室することを選んだんだ?」 俺の一言でルシファーの目がやや鋭くなった。 「よく聞け一宮璃玖」 「?ああ…………」 「お前は私はなんだかわかるか?」 ?何を当たり前な事言ってんだ、コイツは。 「ルシファーだろ」 「ああ、つまりは私は悪魔だ。そして、魔界には私を良く思わない奴もいる」 「まあ、皆が皆お前を良く思うっーのはは絶対無いからな」 「それはすなわち、私の命を狙う輩がいてもおかしくは無い。そうなれば私が見えるお前は有効な武器になってしまう。その際、とり憑かれたり、騙されて利用されぬとも限らん。私はお前がそうなってほしくない。だから同室し、お前を四六時中お前を利用しようとする悪魔共から守る」 それは、俺はルシファーの不可視の魔法を無視して姿を捉えられる。だからいつ敵対する悪魔に俺が利用されるかわからない。だから側にいることでそいつらに隙を与えない。つまりはそういう事、だよな? ………同居する理由にこれは含まれているっぽいな。 「そういう事だ。これからよろしく頼むぞ?璃玖」 「わかったよ、ルシファー」 結局、俺はルシファーが見えてしまったせいで非日常に足を踏み入れてしまったようだ。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加