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あの後、夕食を食べ、風呂をルシファーの後に入り、気がつけば夜十時だった。
「で、なんだったんだ?あの挨拶は」
「処世術の一つだ。性格を一時的に変える事など造作も無い」
「あまりの豹変に驚いたぞ」
俺がため息をつきながら言うと、ルシファーはふふ、と笑い、
「お前が驚いたならなによりだ」
と言ってきた。
「厭味か」
「ふふふ…………そんなわけなかろう」
「そーかい」
そうだとよりタチが悪いな。
「じゃあ質問を変えるが、なんで俺と同室することを選んだんだ?」
俺の一言でルシファーの目がやや鋭くなった。
「よく聞け一宮璃玖」
「?ああ…………」
「お前は私はなんだかわかるか?」
?何を当たり前な事言ってんだ、コイツは。
「ルシファーだろ」
「ああ、つまりは私は悪魔だ。そして、魔界には私を良く思わない奴もいる」
「まあ、皆が皆お前を良く思うっーのはは絶対無いからな」
「それはすなわち、私の命を狙う輩がいてもおかしくは無い。そうなれば私が見えるお前は有効な武器になってしまう。その際、とり憑かれたり、騙されて利用されぬとも限らん。私はお前がそうなってほしくない。だから同室し、お前を四六時中お前を利用しようとする悪魔共から守る」
それは、俺はルシファーの不可視の魔法を無視して姿を捉えられる。だからいつ敵対する悪魔に俺が利用されるかわからない。だから側にいることでそいつらに隙を与えない。つまりはそういう事、だよな?
………同居する理由にこれは含まれているっぽいな。
「そういう事だ。これからよろしく頼むぞ?璃玖」
「わかったよ、ルシファー」
結局、俺はルシファーが見えてしまったせいで非日常に足を踏み入れてしまったようだ。
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