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『お前死ねーーーーー!!!』
「あぁ!?殺んのかゴラァ!!?」
桜満開の季節。
誰もが高校デビューで浮かれ、新しい制服を嬉しそうに花びらと共になびかせてるというのにも関わらず、ピンクの背景には似つかわしくない二人の男女が取っ組み合いのケンカをしていた。
男子の名前は佐野 翡翠(さの ひすい)
女子の方は一ノ瀬 春(いちのせ はるか)というらしく、翡翠とよばれる男は兎も角、春という女子の見た目は、色白でどこかしとやかで、大人しめ印象をもたせるというのに、その春が見た目、不良?そうな翡翠と取っ組み合いのけんかをしてるのだ。
誰もが己の目を疑うだろう。
ミスマッチの二人が取っ組み合いのケンカをしているという恐ろしい光景が新入生の目にも保護者の目にも強烈なくらいに鮮明に映る。
おそらく、この二人は新入生だろう。取っ組み合いのなかでチラつかせる胸元の花のブローチがそれを物語っていた。
新入生で・・・ましてや、異性同士が取っ組み合いのケンカをするなんて・・・だれもがそんな光景に困惑の色と恐怖すら覚え、誰もとめる事ができなかった。
「っちょ、ちょい!春!やめなさい!!入学式そうそうにしてなに、やらかしてんのよ!!」
だがしかし、1人の少女が取っ組み合いをしている春に勢いよく飛び掛りとめに入って翡翠と距離を置かせた。しかし、翡翠は頭に血が上っているのかそのまま春の方へと乱暴に足を進めるが、
「え、なになに?この騒ぎー・・・って、翡翠!!?君、何してるの!?」
そこを人ごみの中を掻き分けて出てきた1人の少年がその修羅場を見るなり顔色は一変させ翡翠を止めに入る。
どうやらこの少年は春を止めに入った少女同様で翡翠とは幼馴染らしい。少女の名は井ノ上 紫(いのうえ ゆかり)少年の名は岸沢 聖(きしざわ ひじり)と言うらしい。
しかし、馴染みの者がきたところで春と翡翠の取っ組み合いのケンカは終わらない。
幼馴染の腕で押さえつけられているが目のいろは変わらずに、今にも目の前にいる人物を殺さんとせんと暴れまくる。
なんだこの絵図ら?である。
これから青春を共にするかもしれない新入生同士がケンカ・・・しかも男女というまれなケース。
これが男子同士ならまだ、まだ、納得できる範囲だが。今しがたケンカしているのは異性だ。
普通にあり得ないだろう。
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