第一章

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すると痴漢はだんだんと手を前の方に動かし始める。 流石にヤバいと思った俺は、叫ぼうとした…が 「何やってるんですか!」 ふと真横から男の声が聞こえた。 それと同時に痴漢の手はワンピースの中から離れる。 「痴漢ですね?立派な犯罪ですよ!」 男は痴漢の手を掴み、睨みつけた。 「お、俺は別に痴漢なんて…っ」 見苦しい否定をし始める痴漢だが、男は容赦なくにらみ続ける。 「痴漢じゃないと?」 「あ、ああ!だってコイツが誘ってきたんだっ」 痴漢はとんでもないことを言って、俺を指差した。 痴漢の手を掴んだままの男もこちらに目をやる。 「…は!?んなわけあるか!」 思わず叫んだ。 それと同時に電車のドアが開く。 どうやら目的の駅に着いたみたいだ。 「…とりあえず降りましょう」 男は静かな声でそう言った。 .
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