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すると痴漢はだんだんと手を前の方に動かし始める。
流石にヤバいと思った俺は、叫ぼうとした…が
「何やってるんですか!」
ふと真横から男の声が聞こえた。
それと同時に痴漢の手はワンピースの中から離れる。
「痴漢ですね?立派な犯罪ですよ!」
男は痴漢の手を掴み、睨みつけた。
「お、俺は別に痴漢なんて…っ」
見苦しい否定をし始める痴漢だが、男は容赦なくにらみ続ける。
「痴漢じゃないと?」
「あ、ああ!だってコイツが誘ってきたんだっ」
痴漢はとんでもないことを言って、俺を指差した。
痴漢の手を掴んだままの男もこちらに目をやる。
「…は!?んなわけあるか!」
思わず叫んだ。
それと同時に電車のドアが開く。
どうやら目的の駅に着いたみたいだ。
「…とりあえず降りましょう」
男は静かな声でそう言った。
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