第二章 暫定殺人

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「やべっ!」  どたばたと駆け出した立橋を余所に、空は玄関を開いた。 「はーい! あれ? どなた……え……な、止めて! 助け……むぐっ!?」 「静かにしろ! ぶっ殺すぞ!」  立橋の足は、止まった。  やがて騒がしい暴れているような音は止み、同時に何かで口を塞がれ、言葉と理解し難い唸り声が響いた。  固唾を、先程とは違う緊張により飲み込む。嫌な胸騒ぎを押さえて抑えながら、リビングに繋がる扉の影から中を覗く。  黒で統一された怪しげな服装の見知らぬ男が、空の口をガムテープで塞ぎ、手足を縄で痛々しく縛り上げていた。思わず声を漏らしそうになる。
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