第二章 暫定殺人

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「無事で良かった……ごめんね、天の友達かと思っちゃった。出るなって言われたら出なきゃいられないからね」  口を自由にされた空の第一声がそれだった。 「そんなんどうでもいいよ! この縄解くから」 「すぐに戻ってきちゃったらどうするの? 私はいいから早く逃げて警察呼んで!」 「一緒に逃げるに決まってるだろ! じゃないと……」 「やば、戻ってきた! 早く……そこ! そこのクローゼットに隠れて!」  懇願するように空に頼まれたら、切実ながらも言う事を聞くしかなかった。慌ててクローゼットに入り、様子を窺うために数センチの隙間を開けて息を殺した。  数秒して男が入ってくる。どうやら何も見付からないらしく、どこか苛立ちがちらついていた。
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