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立橋はこの、悟った菩薩のような優しく悲しい目を、一生忘れる事ができない。
死を悟ったような、寂しい瞳。黒目には吸い込まれそうになるくらいの無邪気がみなぎっていた。
「ダメだ姉ちゃん……止してくれ……」
その瞳に逆らえなくて。クローゼットの扉が開かない。開けない。
瞬間、空は制限された範囲で動く膝を、強盗の下腹部に突き上げた。
「うぐっ!? うぉぉぉ……」
「あなたなんかに犯されるなら……死んだ方がマシだわ」
さらに追撃として、身を捻って男に頭突く。
しかしいとも簡単にいなされた。そして――
「じゃあ、死ね」
――刺さった。背後へと強盗に回り込まれた空の背中に。
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