繰り返す高校二年生

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すぐに掲示板が見えてくる。 その前には人垣があり、ハルミはピョンピョンと跳ねて覗いている。 俺は人より少しだけ高い身長を生かして張り出された紙から自分の名前を探す。 「あった。俺は二年三組だ」 「ホント? 私は? 私は?」 「さぁ・・・どこかな・・・」  俺は興味無い振りをしながら、一生懸命自分のクラスの名簿に視線を走らせた。 ・・・ある! ハルミも・・・同じクラスだ。 「まあ、自分で探せよ。それじゃ、俺は教室へ・・・って、おわっ!」  ホッとした表情を悟らせないようにしながら俺は去ろうとする。 そんな背中にハルミは飛び乗ってきた。そして、俺におんぶをされた状態で掲示板を覗き込んでいる。 「あった! ヨシトと同じクラスだよっ! みて! みて!」  ハルミは満面の笑みで俺に顔を寄せ、掲示板を指差してくる。 「わ・・・わかったよ。とりあえず降りろ」 「ちょっと見てよ! 嬉しくないのっ!」 「まあ、また一年世話してやるか・・・」 「んだとぉ!」  確かにハルミは背中から降りた。しかし、その腕は俺の首に回ったままで釣り下がる。 「くっ・・・くるしい・・・」 「ハルミさまの存在を、重みを持って噛み締めろぉ!」 「は・・・ハルミと一緒になれてすごい嬉しいです・・・」  俺がかすれた声でそう言うと、ようやく手を離してくれた。 「しょうがないなぁ。行くぞ! ヨシトよ!」  ハルミは俺の腕を引っ張りながら、二年三組の教室へ向かった。 「ほうほう。なかなか・・・イケてそうなクラスじゃないか?」 「そのイケてるの基準ってなんだよ・・・」  俺達は教室の窓越しに中をのぞいた。特に何の変哲も無いメンバーのように思えるが・・・。 「おお! ヨシト君! みなさい! あれは美人で有名なシズカちゃんだぞ!」  ハルミが指差している先に、背筋をぴんと伸ばして座っている黒髪の子がいる。 俺も一年生の時に噂を聞いたことがある子だ。 「彼女いない暦、もうすぐ17年目に突入するヨシト君にはよだれ物じゃないかぁ?」 「お前だって同じだろ・・・」  そんな事を言い返す俺に、シズカさんの顔が向いた。 視線が、目が合う。俺はすぐに逸らしたが、俺を見つけた彼女は笑顔になった気がした・・・。 「ふんだ。私ももう高校二年生。そろそろこの高嶺の花に手を出してくる男もいるかもしれないねー? ・・・ねー? ねーって!」
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