繰り返す高校二年生

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繰り返す高校二年生

地下深くに広がっている広大な空間。ここは何かの施設のようではあるが、どんな凶暴な猛獣が暴れたのか、壁は崩れ床には深い爪跡が残る。 ある広い部屋には2m程度の小型カプセル状の物が数千と床に転がっているが、そのどれもが割れ、砕け、押しつぶされ、誰の目にも機能が停止しており、どんな研究に使われていたのかうかがい知ることは難しい。   そんな施設に、唯一音を放っている場所があった。その部屋の天井は高く、15mはあるだろうか。 壁にはいくつもロボットアームが取り付けてあるが、そのどれもが指を無くし、手首を折り、はたまた肘から先を失って力なくうなだれている。 床には何かを運搬する役割を持っていただろう、テーブル型やかご型の特殊車両がひっくり返ったり横向きになったりしていた。  ・・・しかし、その中を一台の無人車が縫うように走り回り抜けていった。 その先には、まだ稼動している巨大な機械仕掛けの腕が慌しく動いている。 それらの中心に、腰を床につき足を伸ばして、壁にもたれかかりながら眠っているかのような姿勢の巨人がいた。 体は金属で出来ているが、その外壁は無理やり剥がされたような跡が残り、鉄骨や配線が露出している。 枠組みしか残っていない巨人を表現するのは難しいが、その目はVの字型のゴーグルを取り付けたような半透明な材質で覆われていた。 いま、光の少ない格納庫の中で・・・巨人の目に光が点った。      ※     ※     ※     ※  終業式を終え、教室に帰ってくると俺はすぐに帰り支度を始める。 「ヨシト! 帰り、打ち上げでカラオケでもいかねー?」  そんな俺に話しかけてくるクラスメートがいた。 「悪いな。先約有り、だ」 「いいよなぁヨシトは。じゃあ俺達はいつもの代わり映えしないメンバーで行きますか!」 「何よー。私達じゃ不満ってわけ? シズカには及ばないけど、あんた達にはもったいないくらいよ!」  奴らは教室の隅に集まりわいわいと遊びに行く相談をしている。 春休みが終われば俺達も受験生だ。この休みが気楽に遊べる最後の機会になる。 「じゃあ、予定通り飯行って、映画に行くか」  俺はカバンを持って隣に来た女の子にそう言う。 黒髪でストレートのロングヘア。その艶々とした髪を揺らしながら彼女は俺に笑顔を向けている。 「その後、買い物ね」 「ああ、分かってる」
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