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「――――ツっ。」
息苦しさを感じて、蒼空は目を覚ました。
「・・・・ハアッ、ハアッ。―――――いっ!!」
ベットの中で体を丸めて、胸に走る激痛に顔を歪めた。
「・・・・ツ、う・・・。」
日に日に回数が増える激痛は、もはや言わないで大丈夫なレベルじゃなかった。
蒼空は胸元をギュッとにぎりしめて痛みに耐えながら、片方の手でケータイを取り出して電話をかけた。何度かの呼び出し音を聞いている間に、胸の痛みが少しずつ治まっていった。
“「・・・はい、もしもし。どした、蒼空?」”
「・・・・司っ、今日ってこれから、時間ある?」
ほんの少しの間があって、司が言ってきた。
“「あぁ。今日は丁度休みだけど・・・・。蒼空、おまえ大丈夫か?」”
「・・・・ん、大丈夫。ちょっと調子が悪いだけ。それより、迎え来てくれるか?」
家のそばに停車する車に、蒼空は乗り込んだ。
「で?どこに行くんだ?買い物でも何でも、付き合ってやるよ。」
「うん・・・・ちょっとね。」
乗るなりそう聞いてくる司に、蒼空は曖昧な返事をする。
なんだか今日は目覚めてから、頭がボーっとしている気がした。
「本当に大丈夫か?電話の時も何か変だった
けど・・・。」
そんな彼の様子に気がついた司は、心配そうにそう言った。
「司・・・・。病院に、行って。」
「――――はぁ!?病院!?だったらアヤちゃんと行くべきじゃねぇのか?」
予期せぬ言葉に、司は驚いた様子を見せた。
「ダメだよ。まだ、はっきりとした原因が分かってないのに・・・・彩華に言いたくないんだ。」
司は溜息をつくと、手を蒼空の額に当てた。
「・・・・ったく、おまえって奴は。ちょっと熱あるな、やっぱ。そんなおまえをよくアヤちゃんが外出許可したなぁ。」
「司と出かけてくるって言ったら、『それなら安心ね!』ってそれだけしか言わなかったよ。」
「――――で?体、大丈夫なのか?」
司が話を戻すかのように、蒼空の方を見る。
「・・・・うん、まあ。ちょっと最近動悸とか頻繁に起きてるかなって、それだけ。」
「それ、全然大丈夫じゃねぇだろ。あんま、無理すんなよ?」
「うん・・・。ありがと、司。」
しばらくして病院についた蒼空が受付を済ませると、すぐに検査室に呼ばれた。いつもと同じ採血とか血圧とかの検査を受けた。
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