4話 隠し事、友達

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 それを聞いた勇太は、すっと片手を差し出した。 「僕も、ごめん。・・・・じゃあ改めて、よろしくって事で。」 「・・・あぁ。」  差し出された手を、光輝は握り返した。    *   *   *  病院についた蒼空は、すぐに診察室に呼ばれた。京哉と共に中に入り、用意された椅子に座った。 「お忙しい所、来て頂いてすいません、京哉さん。」 「大事な一人息子の事ですから、忙しいとか言ってられませんよ。」  そう言う京哉に頷くと、藤岡はすぐに診察をはじめた。 「ところで蒼空君。私は奥さんも連れて来てくれと言ったはずだが?」  蒼空の胸元に聴診器をあてて診察を続けながら、藤岡が言った。 「・・・・すいません。まだはっきりしてない事を、彩華に知られたくなかったんです。」 「体の調子が悪くなるといつもソレだな、君は。」  そう、こんな事をするのは今回がはじめてじゃなかった。前も、その前も、体の調子が悪くなると司か父の京哉に付き添ってもらって、彩華には内緒で病院に 来る事は何度もあった。 「・・・・すいません。」 「・・・ふむ。今日は調子が良さそうだな。」  特に顔色が悪いわけでもない蒼空の姿は、京哉に今日呼ばれた事を不思議に思わせてしまう。 「藤岡先生。息子は一体どうしたって言うんですか?今日も調子が良さそうに見えますけど・・・。」  そう聞かれた京哉は、深い溜息をついた。 「申し上げにくい事なのですが・・・・蒼空君の体は、あまりいい状態とは言えないと思います。」 「それは、一体どういう意味ですか?」  先を促そうとする京哉とは反対に、蒼空は顔をうつむかせていて、手が震えていた。覚悟はしていても、やはり怖かった。 「ついこの前、蒼空君が胸の痛みを訴えてきましてね。それで色々と詳しい検査をさせてもらいました。それで昨日、その結果が出たので来てもらった・・・・という訳です。」 「それはいつもの喘息から来るものではないんですか?」  そう言ってくる京哉に、藤岡はカルテを片手に首を横に振る。 「私も最初はその可能性を考えましたが、この検査結果ではそうとは言えないんです。」 「・・・・藤岡先生。」  それを静かに聞いていた蒼空は、自分の体が今どういう状態なのかに何となく気づいてしまった。 「ん?なんだい、蒼空君?」
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