5話 オモテの気持ち、ウラの気持ち

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「・・・・つっ・・・。」  目を覚ました蒼空が最初に見たのは・・・見慣れた白い天井だった。 (久しぶり・・・白い天井さん。)  最近は入院しなければならないほど体調が悪くならなかったので、この天井を見るのは本当に久しぶりだった。 「よかった。目が覚めたのね、蒼空。」  蒼空が声のした方を見ると、そこには彩華がいた。 「・・・彩華。・・・・僕は、どうしたんだっけ?」  彩華に電話をかけた所までしか、蒼空は覚えてなかった。でも、ここに・・・病院にいるという事は、倒れたのだろう。 「心配しなくても大丈夫だよ。さっきの発作は吸入器ですぐに治まったけど、その後気を失っちゃったから・・・一応ここに連れて来たの。」  彩華はそう言いながら、ナースコールを押した。 「そっか・・・・。全然、覚えてないや。」    コンコン・・・。  病室の扉がノックされ、中に入ってきたのは藤岡と看護師だった。  藤岡は入って来るなりすぐに、蒼空の体を聴診器で診察をはじめた。 「蒼空、家で何があったんだ?」  正直に家で何があったのかを話すと、藤岡は溜息をついた。 「まったくおまえは・・・。いい大人が何をやっているんだ。」 「・・・・すいません。」 「彩奈、どうしてあんな事したの?パパが走ったりしちゃダメなのがどうしてわからないの?」  病室の隅っこでヌイグルミを抱きしめている彩奈に向かって、彩華が怒る。 「だってぇ・・・。」 「だっても何もないわ。たった一人のパパなんだから、ちゃんと考え―――。」 「もういいよ彩華、それくらいでやめなよ。・・・・彩奈だけが悪い訳じゃない、僕も悪い。」  蒼空はベットから起き上がり、彩華の言葉をさえぎった。 「でもっ!!」 「彩奈はきっと、悪気があってしたんじゃないんだ。この子はまだ幼いし、勇太だって同じ様な事があっただろ?この子はただ・・・・遊びたかっただけなんだ。」  発作を起こした時の事はよく覚えていなかったが、一つだけしっかりと覚えていた事があった。 ――――『ごめんなさいっ、パパ。ごめんなさいっ!』  泣きながら何度も何度も謝っていた彩奈の声は、しっかりと耳に残っていた。 「・・・・ごめんなさい、パパ。彩奈のせいで。」  彩奈が傍にやってきて、泣きそうな顔で謝ってきた。 「ごめんな、彩奈。驚いたよな・・・・ごめんな。」  蒼空は優しく、彩奈の頭をなでた。
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