6話 僕に出来る事

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   *   *   * 光輝は勇太にとっては今や、大切なパートナーで大切な友達だ。けれど、それでも許せない事が・・・一つだけあった。 「ねぇ、光輝。あなたのお父様って、本当にホストクラブの人なの?」 「あぁ、そうだよ。店の店長でもあり、一番人気の高い№1なんだ。」 「キャー!いいなぁ。私もステキな王子様に色々して欲しいわ。」  ホストクラブが何の事なのかを理解している愛羅は、キラキラと目を輝かせて楽しそうだ。 「・・・・。」  自分の事はそっちのけで、二人だけの話で盛り上がっている姿を見ると、いくら大切な友達とはいえ光輝の事がムカついた。 (何がホストクラブだっ。ただ自分の親を自慢してるだけじゃないか。) 「・・・・勇太?そんな怖い顔してどうしたのさ?」 「別に。そんな顔してない。」 「してるよ~。おでこにしわよせて、光輝の事じっと見てましたよ~?」  そう言う愛羅の言葉は、勇太をますます不機嫌にさせていく。  小さい頃から一緒にいた自分は“ちゃん”付けで、出会って間もないアイツの事を呼び捨てにしているのは・・・何だか許せなかった。 「だから、そんな顔してないってば。」 「あっ!わかりましたわ!」  何かに気づいた愛羅は、手をポンと叩いた。 「もしかして・・・・ヤキモチですの?」 「そっ、そんなわけないだろっ!」 勇太はそれだけ言って、そっぽを向いた。 「やれやれ。あの反応じゃバレバレだネ。」  光輝は肩をすくめ、別の子達の所へと行ってしまった。 「・・・・勇ちゃん。」 「なんだよ。愛羅も他の奴らの所に行けば?」  そっぽを向いたままそう言う勇太に、愛羅はそっと耳打ちした。 「私にとっての本当の本当の王子様は・・・・勇太だから。」    *   *   *  ついこの前、藤岡に体の事は充分注意するように言われたが、あれから大した変化はない。時々起きる動悸や喘息の発作は相変わらずだが、大きな発作や激痛がなくなった事は、蒼空を心配するみんながホッとしていた。蒼空自身も、前より調子良くなった事を・・・・喜んでいた。  しかし―――藤岡だけは、そうじゃなかった。ここ何回かの検査結果の「数値の安定」と「症状の安定」。急にこんな変化が現れた事が不思議でならなかった。そのうち何かが起きるのではないかと、彼は心配していた。 「ねぇ、司兄ちゃん。愛羅はどうして来なかったの?」
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