7話 大切な人、愛する人

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 差し出されたのは一つの紙袋だった。貼られたシールが、それが何の為なのかを教えてくれた。 「もしかして、私のために・・・そんな体で無理して行ったの?」 「そうだよ。だって、大切な日だろ?だったらちゃんと・・・・祝わなきゃ。」  彩華は嬉しかった。蒼空の体調が悪くなった為に、今年はそんな事をしてるどころではないと思っていたから。何があろうと、ちゃんと祝ってくれる彼の気持ちが・・・・嬉しかったのだ。 「もう・・・蒼空のバカっ。そんなの聞いたら、怒れないじゃない。」  蒼空はすっと彩華を引き寄せて、優しく・・・抱きしめた。 「彩華・・・。スキ、大好き・・・・ホントに好き。」 「うん。私も大好きだよ――――っはわ。」  彩華をベットに押し倒した蒼空は、深いキスをした。 「ダメよ蒼空。熱あるんだから、ねてな―――んっ・・・。」  そうして二人だけの時間が過ぎようとしていたが、玄関が開く音が聞こえてきてその時間は終わりをつげた。 「・・・たっ、ただいまっ。」  部屋に入ってきたのは、勇太だった。急いで来たのか、少し息を切らしていた。 「お帰り、勇太。今日は早かったな。帰りに司の家に寄って、愛羅と遊んで来るんじゃなかったのか?」 「愛羅の家には行ったよ。けど、司兄ちゃんから父さんの事聞いたから、すぐに帰って来たんだ。・・・それより父さん、体は?大丈夫?」 「大丈夫だよ。入院したわけじゃないんだから、心配するな。」  勇太の頭を優しくなでながら、蒼空は笑顔で答えた。 「でもっ・・・。」 「だから、『やっぱり運動会来なくていいや』なんて言うなよ?父さんも楽しみにしてるんだからな?」  勇太はじっと蒼空を見つめた。 「当日、ちゃんと見に行くからな勇太。約束だぞ?」 「・・・うんっ!約束っ!」
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