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「・・・・ッ・・・。」
少し胸に違和感を感じて、蒼空は胸元に手を当てた。
ずっと彩華に伝えたかった・・・・言葉。魔法の時間はこのための・・・小さな奇跡の時間――――。
「・・・・僕っ、君に出会えて本当に良かった。あの時会わなかったら・・・今の僕はっ、ないからっ。」
「そんな事言うなんて、急にどうしたの?」
そう言ってクスクスと笑っている彩華を、蒼空は抱きしめた。
「・・・・彩華っ、愛してるよ。」
「うん。私も愛してるよ、蒼空。」
* * *
僕の中で――――何かが途切れた。
視界がグラついて、僕は倒れそうになった。それを何とかこらえて、僕は胸をギュッとつかんだ。
「・・・・ツっ・・・。」
小さな痛みが胸を支配していて、それが少しずつ強くなっていく。
「蒼空っ!?どうしたの!?」
「・・・・ご、めん。もう・・・時間切れ、みた――――ツっ!?」
激痛が襲ってきて、僕はその場に座り込んだ。
異変に気づいた彩華は、優しく僕の背中をさすってくれた。
「病室に戻ろう、蒼空。動ける?」
「・・・・ハアッ、ハアッ・・・。そっ、そうす・・・・るっ。――――ツ・・・うッ!」
立ち上がろうとしたけど、また激痛が襲ってきた。僕は痛みに耐えきれず、その場に倒れ込んでギュッと胸をつかんだ。
――――イタイヨ・・・。
「蒼空っ、しっかりしてっ!」
彩華が僕を抱きしめ、泣きそうな顔で必死に叫んでいる。
――――クルシイヨ・・・。
「・・・・ハアッ、ハアッ・・・っ・・。」
言葉を口にしようとするが、激痛のせいで声にならなかった。
――――タスケテ・・・。
彩華が必死に何かを叫んでいるのはわかっていたけど、“何か”までは聞こえていなかった。
僕の耳に聞こえていたのは・・・・自分の心臓の、鼓動の音だけだった。
そして――――。
僕の意識は・・・・そこで途切れた――――。
* * *
処置室の外で待っていた彩華は、中から出てきた藤岡に声をかけた。
「先生っ、蒼空はっ!?」
「今のところは何とか大丈夫だ。だが、状態はかなり悪いな。」
「かなり悪いって、先生・・・・この間と話が違うじゃないですかっ!」
彩華は藤岡の服をつかみ、必死に訴えた。
「私だってあの時はそう思ったさ。だが・・・・今の状態にしておくのは危険だ。」
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