1話 再誕、約束

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 二時限目の今、黒板の前に立っている先生は例のアイツだ。今日もこの時間を何とかクリアしなければならないが、もうそんな事を考えているどころではなくなっていた。 「――――ッっ。」  呼吸が少し辛くなってきて、蒼空は胸に手を当てて呼吸を整えようとする。 「・・・・ハアッ・・・ハアッ・・・。」  それに気づいた司と彩華が、心配そうな顔をして、小声で言ってくる。 「大丈夫、蒼空?保健室行った方がいいんじゃない?」 「アヤちゃんの言う通りだ。あんま我慢し過ぎない方がいい。」 「・・・・ハアッ。そ・・・そうするっ。・・・・ハアッ・・・ハアッ。」  司は頷くと、席を立った。 「先生、蒼空君がなんか具合悪いみたいなんで、保健室に付き添ってもいいですか?」  すると先生が「またかよ」と言わんばかりの顔でこちらにやってきた。が――――蒼空の苦しそうにしている姿を目にして、絶句していた。 「あ・・・あぁ。」  絶句している先生を放っておき、司は蒼空に手を貸してやり彼を立たせた。 「ほら・・・行くぞ。蒼空、立てるか?」 「・・・・うん。まだ・・・・ハアッ・・・ハアッ・・・・何とかっ。」  ふらついた足どりで、蒼空は教室を出ていった。  保健室に来るなり、蒼空はベットに横になった。 「・・・・ケホッ・・・ケホッ・・・。」  呼吸は落ち着いてきたが、今度は軽い喘息の発作が彼を襲う。 「ホントに大丈夫か?早退するならついていくけど?」 「だっ、大丈夫だって。・・・僕の事はいいから、早く教室、戻って。」 「そっか?ならいいけど・・・・。あんま無理すんなよ?」  そう言って司が出て行くと、保健室の先生が蒼空から体温計を受け取り、溜息をついた。 「全く・・・。37.9度もあるのに、大丈夫じゃないでしょ大河君。」 「・・・・大、丈夫です。――――いつも司や彩華に頼ってばかりだから、僕の事ばかり気にして自分の時間がなくなって欲しくないんです。」  蒼空にとって司と彩華の存在はなくてはならないもので、まして今の彼には、二人がいなければ学校生活なんて一人では出来そうになかった。けれどそれが二人を束縛してしまっているような気がして・・・。これは彼なりの、出来る限りの気遣いで――――。  保健室の先生は再び溜息をつくと、氷枕を持ってきた。
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