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「・・・わかった。でも熱が上がってくるようだったら、家族の方に迎えに来てもらうからね?だから今は、ゆっくり休みなさい。」
なんだかホッとした蒼空は、そのまま眠りに落ちていった。
「・・・・・。」
額に何かの感触を感じて、蒼空は目を覚ました。ゆっくりと目を開けると、そこには彩華がいた。感じた感触は、彩華の手だった。
「・・・・彩華。な、んで、ここに・・・。」
「何でって・・・心配だからに決まってるよ。」
「・・・・・。」
あまり話す気力もない蒼空は、言葉が続かなかった。
「やっぱり熱出しちゃったね。朝の時からちょっとあったもんね。」
「・・・・うん。」
今朝と違う様子に気づいて、彩華は心配そうに顔を覗き込んできて、自分の額を蒼空の額にくっつけた。
「「――――。」」
話す気力もないはずなのに、蒼空の体は自然と動いて彩華をそのまま抱きしめた。
そして、深い・・・・キスをする――――。
「――――っ!な、なにすっ・・・。」
突然の彼の行動に、彩華は顔を真っ赤にした。
「彩華・・・・。」
耳元で囁く声は、心をドキドキさせた。
「だっ・・・・ダメだよ、蒼空っ。寝てなきゃ。」
離れようともがくけど、蒼空に強い力で抱きしめられていてビクともしない。
「ねえ・・・・僕に力を頂戴。一年間頑張れる力を。」
「力を頂戴って言われてもっ、私何もしてあげられないよ?」
「出来るよ。僕のお願いを聞いてくれればいいんだ。ねっ?お願い、彩華。」
いつもと違う彼の言動は、まるで幼い子供みたいで、ドキドキする気持ちが止まらない。
「お、お願いって・・・・なにっ?」
蒼空は彩華を抱きしめたまま、耳元で囁いた。
「卒業したら、僕と――――。」
――――僕は彩華と、一つの約束をした。
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