1話 再誕、約束

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「・・・わかった。でも熱が上がってくるようだったら、家族の方に迎えに来てもらうからね?だから今は、ゆっくり休みなさい。」  なんだかホッとした蒼空は、そのまま眠りに落ちていった。 「・・・・・。」  額に何かの感触を感じて、蒼空は目を覚ました。ゆっくりと目を開けると、そこには彩華がいた。感じた感触は、彩華の手だった。 「・・・・彩華。な、んで、ここに・・・。」 「何でって・・・心配だからに決まってるよ。」 「・・・・・。」  あまり話す気力もない蒼空は、言葉が続かなかった。 「やっぱり熱出しちゃったね。朝の時からちょっとあったもんね。」 「・・・・うん。」  今朝と違う様子に気づいて、彩華は心配そうに顔を覗き込んできて、自分の額を蒼空の額にくっつけた。 「「――――。」」  話す気力もないはずなのに、蒼空の体は自然と動いて彩華をそのまま抱きしめた。  そして、深い・・・・キスをする――――。 「――――っ!な、なにすっ・・・。」  突然の彼の行動に、彩華は顔を真っ赤にした。 「彩華・・・・。」  耳元で囁く声は、心をドキドキさせた。 「だっ・・・・ダメだよ、蒼空っ。寝てなきゃ。」  離れようともがくけど、蒼空に強い力で抱きしめられていてビクともしない。 「ねえ・・・・僕に力を頂戴。一年間頑張れる力を。」 「力を頂戴って言われてもっ、私何もしてあげられないよ?」 「出来るよ。僕のお願いを聞いてくれればいいんだ。ねっ?お願い、彩華。」  いつもと違う彼の言動は、まるで幼い子供みたいで、ドキドキする気持ちが止まらない。 「お、お願いって・・・・なにっ?」  蒼空は彩華を抱きしめたまま、耳元で囁いた。 「卒業したら、僕と――――。」 ――――僕は彩華と、一つの約束をした。
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