奪還

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 臨海学校も無事終わり──死合をしていて無事とはいえないけれど──あれから2週間くらいの日にちが過ぎた。  その2週間の間には期末テストがあったけれど、僕もユリも赤点が1教科もなくパスできた。  赤点の教科は補習があるから、僕がユリにマンツーマンでしっかと勉強を教えたんだ。  それでわかったんだけど、ユリは意外と勉強ができる。  平均80点以上はあるんじゃないかな?  僕はもちろんユリよりは上だけどさ。  たぶん平均90点前後くらい。  学年順位にすると7位だったかな。  ……つばさとつかさは3位と5位だったけど。  この結果を思い出すと今でも悔しいから、もうこの話は止めよう。  他にこの2週間の間で、僕とつかさの傷はすっかりと癒えた。  そして、今は夏休みになってから1週間目の火曜日。  べつに火曜日という曜日が重要なわけではないのだけれど、僕たちはこの日を待っていた。  僕たち。  それは僕とユリ、それにつかさとつばさのことだ。  僕は『僕たち』と呼べるまで友達──いや、仲間が増えたことがとても嬉しい。  そして今、僕はその仲間のつかさとつばさを我が家に招いていて、2人が到着するのをユリと待っているところだ。  ──ピンポーン。  お、丁度いいタイミングで2人が到着したみたいだ。  僕はソファーから立ち上がると、ユリを残して玄関へ向かった。 「お久しぶりね、藤森君」 「入るぞ」  僕が玄関を開けると、予想通りつばさとつかさの2人だ。  その1人のつかさは、玄関を開けると同時にズカズカと勝手に家の中に入って行く。 「ちょっ、つかさ!」 「ごめんなさいね、藤森君。つかさ君は暑いの苦手なのよ」 「……まぁ、今日は夏日だしね。つばさも入ってよ」 「ありがとう。お邪魔するわね」  僕が手で招くように中に入ることを促すと、つばさは玄関で履いていたヒールのサンダルを脱ぎ、しゃがんで自身のそれとつかさの靴を綺麗に揃えると、立ち上がって僕の後を付いてくる。  僕はユリと恐らくつかさが待つクーラーの効いたリビングにつばさを案内すると、僕はユリの隣、つばさは予想通りいたつかさの隣に座った。
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