奪還

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 こうして落ち着いた状態で改めて2人を見ると、僕は2人の私服姿を初めて見たことに気が付いた。  つかさは上はちょっとオシャレなYシャツで、下はそれに合わせたジーンズ姿だ。  無駄に装飾品を着けずに、元々の見た目の良さを生かしている感じだ。  つばさはというと、その真っ黒な髪色とは対照的な純白なワンピース姿。  ちなみに丈は膝が見え隠れするくらい。  どうやらつばさは、ユリと同じ様な系統の服を好むみたいだな。  なんというか、こうして美男美女たちに囲まれているとちょっと滅入るな……。 「藤森、わざわざこうして俺達が出向いてやったんだ。早速本題に入るぞ」  僕が少し滅入っていると、つかさが早く済ませるぞという感じで話し出した。 「そうだね」  僕は気を取り直し応える。  そう、つかさが言った本題とは──奪還作戦。  つかさとつばさの母親を、ALCから奪還する作戦会議のために集まったのだ。  やっと僕とつかさが全快になったわけだしね。  あとは作戦だけってこと。 「ユリからも少なからずALCについて聞いているけど、つかさたちからも聞かせてくれないかな? 特に外観や内部についてをさ」 「それなら私が説明するわ。つかさ君はそういうのは苦手なのよ」 「ふんっ」  つばさの言葉につかさは鼻を鳴らし立ち上がると、クーラーの風にあたって涼みだし始めた。  どうやらつばさに説明の全てを任せるみたいだ。 「ALCの外観は、そうねぇ……例えると監獄って感じかしら」 「監獄……」  僕が呟くと、つばさはそれに頷いて話を続ける。 「四角形のタワー型で、上階にいくにつれて段々と細くなっていくわ。高さは300メートルは優にあるわね。そのタワーの周りを、直径約100メートルの長さで円状に塀が囲んでいるわ」  つばさのその後の説明によると、その塀の上には有刺鉄線が備え付けられていて、入口は1個所だけらしい。  その入口から真っ直ぐ100メートルほどの長さで、陸地に道がのびている。つまり、その100メートルの道以外は、ALCの周りを海が囲んでいるんだ。  恐らく、陸地から100メートルほど離れた海上を埋め立て、わざわざALCを建てたのだろう。  道は1本。入口も1個所。しかもその入口には、レーザーのようなもので人体を識別してロックを解除するシステムがあると言う。
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